「行くぞ」


隆はあたしの
手をひいて
どんどん
坂を登っていく

「ちょっと
待ってよ…」

さすがに
大学の山岳サークルで
馴らしただけのことはある

隆の足どりは
軽快そのもの

あたしはというと
社会人になり
運動しなくなって
何年にもなるから
すぐに息切れしてしまった

「情けないなあ…」

ぼやく隆は
どこか楽しそう

「しっかりしろよ
来年もこの坂
登るんだからな」

「ええっ!?」

ゼイゼイ
肩で息をしながら
本気でびっくりする
あたしに

「あたり前だろ!」


涼しい顔