死への救急搬送


「それも問題ですよね。しかしM市管内には消防本部と2か所の消防署があります」

「帰る救急車を待つよりそちらから出動すれば早くて二人とも助かるんじゃないですか」



「まぁM市の場合はたくさん車両がありますからね」

「でもT町だと常に動いているのは一台だけです。帰らないと次の搬送ができません」



「その場合でも遠い所からわざわざ帰って来る間に隣のM市やZ市救急隊に応援要請して搬送すれば二人とも助かる確率が高くなるのじゃないですか」

「何故それができないのですか」

「言っているような方法だと一人は捨てて帰り、もう一人を帰って搬送するには時間がかかりすぎます」

「二人ともダメになる確率が高くなるじゃないですか」

「おかしいですよね。考え方が」



「いや、よほどの時は応援を依頼する場合もありますが、管内で処理をする決まりなのです」



「だから何故応用的な判断ができないのですか」

「決まりだ。決まりだからそうするしかない」

「そんなに単純な判断しかできないのですか」