死への救急搬送


「お忙しいところを申し訳ありません」



「いえお待たせしました」

「お話の内容は以前いただいた手紙を読みわかっております」


最初のN脳外科と最後のR病院で撮られたCT画像をパソコンの画面に表示して話します。

「この画像を見る限りにおいては最初の画像と手術前の画像に撮られている最大出血面積に大きな差がありません」

「ですので法廷証言で有利になる証言をするのは難しいです」

「もっと早い時間、つまりN脳外科へ搬送する前に総合病院へ搬送されていたらどうだったかという問題は私自身が患者の状態を診ていないので証言のしようがありません」

「本来は処置が早いほど予後も良いと思われますが、あくまでも残っている画像での判断になりますので結果的に有利な証言はできないでしょうね」



「家内は私が脳外科では透析患者の処置ができないと説明して総合病院への搬送をお願いしたのにM市救急隊に無視され搬送されてしまいました」

「今回のような搬送をされてしまうと今後も透析患者の搬送事故が起きると考えて活動しているのですが裁判を諦めるとすると他に何か搬送事故を防止する手立てがあるでしょうか」


先生は少し考えています。