死への救急搬送




「天国のマシュに会いたい」を執筆し終えた辺りから家内の腎機能は検査をする度に悪化していきだしました。




故マシュの死後、翌年には兄のように慕っていた叔父さんが逝き、その翌年には父親が旅立ち、またその翌年には母親が天に呼ばれ去りました。

父親が亡くなった年の春には移植されていた腎臓も役に立たなくなり血液透析をするために必要な腕の動脈と静脈を繋げるシャント手術を受けます。
(以前血液透析をしていたシャントは長い間使用していなかったので使えなくなっていたのです)




難しい手術ではないので最初は十日間程度の入院予定でしたが、一度目の手術には失敗し二度目の手術を受けなければならなくなり入院期間が延びていきます。

手首近くの動脈と静脈を繋ぐので手術後かなり痛むようでした。




「二回も続けてこんな痛いシャント手術したくないわ」



「でも僕が子供頃に目隠しされて麻酔なしで扁桃腺の手術をしたり、指を挟んで指が壊疽しないように麻酔なしで生爪を剥いで血抜きをしたり、鼻の動脈が運動中に裂けて緊急手術で電気ゴテで鼻の奥を焼かれた痛みよりはましやろ」

「あと一回やから我慢しなよ」



「痛いんに変わりはないわ」

などと病室で話していました。