ストリング ~スマイル500円

「ストレートすぎたかなあ?そんなに身構えないで。つまらなかったらすぐ帰って良いし、1時間でも、30分だけでもいいからっ」

爽やかな笑顔の前で手を合わせる橋本さんに、フッと緊張が解けた。

「行きます」

小さくガッツポーズを作る彼。

「じゃあ、6時に駅の裏でいいかな?小さい噴水があるところ。会社の前じゃあ目立つからね」

ふんわりといい香りを残して颯爽と去っていく後姿に見とれた。

超うれしい。

超うれしいってこの時のための言葉だと思った。


6時15分前。噴水の前にいた。

さっき誘われてからずっとドキドキしっぱなしだ。

何度も深呼吸する。

早く来て欲しいような、欲しくないような。

・・・やっぱり早く来て欲しい。

30メートルほど先に歩いてくる橋本さんを見つけた。

私を見つけると軽く手を上げた。

やっぱかっこいいな。

沢山のサラリーマンが行きかう中で一人だけとても目立っている。

ドキドキが増していく。

心臓が爆発しそうだ。