「いらないよ」
「でも、朝ごはんちゃんと食べたから」
「いらないってば!!」
「そっか・・・」
一瞬困った顔を見せた。
それも手なの?
帰り道を待ち伏せしてるのも、笑顔とかおつりだとか、ここにきて初めて困った顔見せるとか、あれもこれも全部が騙しのシナリオ通りに実行してるの?
「ちゃんと説明してくれる?」
素直な気持ちが口をついて出たが、すぐに後悔した。
詐欺師がはい、詐欺師です、と言う訳ないし、どんなにそれらしい話をされても、私がお金を払う理由にはならない事は明白だ。
お金目当てで近づいてきたの?こんなことばっかりしてるの?なんで私をターゲットにしたの?
聞きたい事は色々あるけれど、そんなこと知ったところで・・・。
「美樹さんを最初に見たのは1年位前かな。朝外を見てたら美樹さんが出勤していくのが見えたんだ。今にも泣き出しそうな顔をしていた」
私の気持ちなんてお構いなしに、圭吾が話し始めた。
悲しそうな顔を、わざとらしい芝居を見るような目で見ていた。
「毎日見てたけど、毎日泣き出しそうだった。今日は泣いちゃうかな、今日は泣いちゃうかなってハラハラしてたけど、一度も泣かなかった」
嘘くさいと思いながらも、黙って聞いた。


