ストリング ~スマイル500円


「いらないよ」

「でも、朝ごはんちゃんと食べたから」

「いらないってば!!」

「そっか・・・」

一瞬困った顔を見せた。

それも手なの?

帰り道を待ち伏せしてるのも、笑顔とかおつりだとか、ここにきて初めて困った顔見せるとか、あれもこれも全部が騙しのシナリオ通りに実行してるの?

「ちゃんと説明してくれる?」

素直な気持ちが口をついて出たが、すぐに後悔した。

詐欺師がはい、詐欺師です、と言う訳ないし、どんなにそれらしい話をされても、私がお金を払う理由にはならない事は明白だ。

お金目当てで近づいてきたの?こんなことばっかりしてるの?なんで私をターゲットにしたの?

聞きたい事は色々あるけれど、そんなこと知ったところで・・・。



「美樹さんを最初に見たのは1年位前かな。朝外を見てたら美樹さんが出勤していくのが見えたんだ。今にも泣き出しそうな顔をしていた」

私の気持ちなんてお構いなしに、圭吾が話し始めた。

悲しそうな顔を、わざとらしい芝居を見るような目で見ていた。

「毎日見てたけど、毎日泣き出しそうだった。今日は泣いちゃうかな、今日は泣いちゃうかなってハラハラしてたけど、一度も泣かなかった」

嘘くさいと思いながらも、黙って聞いた。