ストリング ~スマイル500円

「待って、田代君」

今までに呼ばれたことの無い「クン」という響きにどきっとした。

振り返ると息を切らしながらも笑顔の橋本さんがいた。

「ああ、良かった。探しちゃったよ」

さっきまでの講師の顔とは違う同級生の様な顔つき。

「ちょっと待って、息が上がっちゃって」

息を整えながらゆっくりと私の前へと歩いた。

「もう大丈夫」

真っ直ぐに見つめる瞳に動けなくなる。

「今日食事に行きませんか?」

真剣な表情になった彼にますます固まった。