ストリング ～スマイル５００円

「こっち、こっち」

お店に着くと開発部の人達はもう来ていた。

「お待たせしました」

３人で笑顔を作る。

「彩ちゃん達と飲むんだから張り切ってきたよ」

テンションが高いのは３年先輩の柴田さん。

彩と仲がいいらしく今回の仕切りをしてくれてる。

「こっちは、オレと同期の田中で、そっちが谷川。３年下だから彩ちゃん達と同期か？」

かすかに微笑む田中さんと、ぺこりと頭を下げる谷川君。

開発部とはフロアも離れているし密かに避けていたので３人とも全く知らない。

谷川君って同期？顔を見ても思い出せない。

「谷川君って私達と同期なの？」

彩が早速聞いた。

「あっ、うん。ずっと北海道支社勤務で先週から本社に戻って来たんだ。よろしく」

「やっぱ知られてないんだ、谷川。地味だからなお前。でもイイヤツだから仲良くしてあげてね」

柴田さんが先輩らしく言った。