ストリング ~スマイル500円

「お待たせ。オレの方が先に着いている予定だったのにな」

時計を見ると10分前だ。

「じゃあ、行こうか」

「はい」

人の流れとは逆に歩き始めた。

スーツの男の人と歩くの初めてだ。

それだけで大人になった感じがする。

ショーウィンドに映る二人は大人の恋人に見えるかな?

ガラスに映る姿を横目で見る。

はっっ、なに私の格好。

ただのギャルじゃんっ。

通勤用にそれらしいものを何着かはまとめて買ったが、すぐにネタ切れし、今までの服から地味目な服を選んで着ていた。

ガラスに映った私はそこらの地味目のギャルだった。

全然つり合っていない。

恥ずかしい。

さっきまでの大人ぶった気持ちはぺしゃんこに潰れた。