「それよりレイ、ご飯の時くらいは携帯は見るなよ」


これぞ長男。


兄弟三人で肩を寄せ合い、助け合って暮らしてきた。


少し年の離れた妹の、兄であり、父であり、ひかりが母だ。


時に厳しくしなくては。


それが威厳というものだ。


シュンとしたレイは、おとなしく携帯を…。


「羨ましいんでしょ?」


「はい?」


「なんかこう、ご飯食べながら携帯って、すすんでる感じがして羨ましいんでしょ?」


ほくそ笑む末っ子。


グッと下唇を噛む、Mr.威厳。


その時、助け舟がやってきた。


「お兄ちゃんは毛布どうする?」


「俺は上」


「だよねー」


「下だけ敷くヤツの気が知れない」


「よねー」


ひかりが唇を吊り上げる。


それはそれは意地の悪い、悪魔の微笑みだった。