「千華、何かあった?」
「べ、別に。早く着替えて帰ろ。」
「うん?」
琴音に気付かれたかな?
でも、話せない…。
「「じゃあね♪」」
琴音と石黒先生とは駐車場で別れた。
……
無言で運転してる祐チャン。
祐チャンが好きなグループの曲と、お互いの呼吸だけが、唯一の音。
もしかして、部活に遅れて行った事怒ってるのかな?
来た時、祐チャンに言わなかったし…。
「…何があったのかはあえて聞かないけど、一人で抱えないでちゃんと相談しろよ。」
祐チャン…。
「うん。ありがと♪」
怒ってるんじゃなくて、心配してくれてたんだ…。
「そうそう、姉貴の電話だけど。」
「美咲サン、何かしたの?」
すっかり忘れてた(汗)
「また旦那の事だってさ。暫く俺ん家に泊まるとか言ってたから、帰るまで来ない方がいいかも。」
そういえば、一人で放っておくとか言ってたっけ。
「分かった。何かあったらいつでも呼んでくれていいからね♪」
「悪いな。」
その間にどうするか考えて、答え出さなきゃ。
「ううん。」
祐チャンに言ったら、楽になるのかな。
でもそしたらまた、矢島先生に何か言われるかもしれない…。
「祐チャン?」
「うん?」
「もし、私が留年したらどうする?」
遠回しに聞いてみよう。
「うーん…。留年したら別れる。だからちゃんと進級しろ。」
「うん。」
留年したら別れる
留年しなくても別れる。
なら答えは…。
「じゃあね♪」
「おぅ。気を付けてな。」
あ、明日の帰りの事聞くの忘れた。
でも部活無いから電車でいっかな。
…………


![叶わぬ恋〜先生〜 [短編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.763/img/book/genre3.png)