………


それから学校に行くと、朝から全校集会があった。


先生たちも全員集まるんだけど、祐チャンの姿を見つけられない。


それに結局、祐チャンの服に付いていた口紅と香水の主が分からないまま、休みが終わってしまった。





「すぐ移動じゃん!!作品完成しそう?」



HRが終わって、少しの休憩時間。
でも、選択科目だから、美術室に行かないといけない。



「色作りながらやってるから、大丈夫だと思う。」


「私も。琴音は?」


「もうちょっとで鉛筆終わるから、今日中には色作りに入れると思う。」


「そっか。」



今は、自画像を描いている。

細かいところまで忠実に描かないといけないから、色作りも大変。

……


「もうちょっと薄めた方がいいよ。」


「あ、はい。」


担当の矢島先生が、一人一人を見て回っている。


あれ?

矢島先生、香水付けてる。

それに、この匂いって…。

まさかね。

ただ、同じ香水なだけ。
であって欲しい…。



……


「昼休み、誰にも気付かれずに、準備室に来てくれる?」


「…分かりました。」



授業が終わる間際、矢島先生からいきなり言われた。

何言われるか怖いけど、まず、祐チャンの事だと思う…。





「千華?」


「どうかしたの?」


「ううん。」


二人にも言えない…。



………


……






気掛かりなまま、残りの授業を受けた。