「次は千華。いつまで、高野って呼ばれてるつ もり?」
「いや、別に呼んで貰えれば何でもいいけど… 。」
「私、付き合ってないけど、家に帰れば"舞"っ て呼び捨てだよ。」
「ほら、付き合ってる人が名字のままでいいの? 」
「そう言われると嫌だよ。私だって、いつ呼び 捨てで呼んでくれるのか期待しているのに、呼 んでくれそうにないし。祐チャンのことだから、学 校で間違って呼ぶこととか気にしてるのかも知 れないけど、そんな呼び方1つでどうかなる訳 じゃないのにさ。」
お父さんから認められたら、呼んでるとばかり 思ってた。 なのに、一向に呼んでくれそうにない。 何か涙が出てきた。
「はい。ティッシュ。」
「ありがと…。」
「泣くまで悩んでたなら、自分から催促しない と…。じゃないと、ずっと名字のままだと思う 。」
「舞チャンは自分の気持ち伝えるんだから、千華は 、呼び方の催促してみたら?」
「うん…。」
「琴音チャンはどうなの?」
そうだ。 私たちのことばかり色々話して、約束までした のに、琴音は自分たちのことを話さない。
「私たちは特に何もないよ。強いて言うなら、 私が1回も料理してないことかな。」
「作らないの?」
「作りたいけど、全部智クンがやってくれちゃっ て…。手出ししようとしたら、怒るし…。」
「智クンに言ってみたら?」
「だね…。」
「じゃあそれ、約束ね。」
「うん。」
「…夕飯の買い物してってもいい?」
「いいよ。」
ついでに私もしてこ。


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