しばらくすると、柏倉は静かになった。
高野以外誰も、俺の事を言ってるなんて、これっぽっちも思ってないだろう。
俺の反対側に座っている大木先生も、注意しただけで何も言ってこない。ってか寝てる。
散々、部屋で寝てたはずなのに…。
その反面、俺は眠れなかった。
いや、眠ろうとしても、眠ってはいけないような気がした。
だから、今睡魔が襲ってきてもいいはずなんだけど、全く眠くならない。
あれっ。俺ってこんなに眠くならないんだっけ…?
窓の外を見ながら、ぼおっとしていると、いつの間にか薬師寺に着いていた。
せっかくの住職さんの講話も、すぐに通り抜けて行ってしまった。