ピンクの星と緑の太陽

何かが暗闇に蠢いて(うごめいて)いた。





そして見たのは紫の瞳…。あれは…。





「大事ないか?」






「貴方は…。やはり…。」





魔物でもこの方は…。文献にも限られた…。






ドクん!






「くっ…。」






ドクん!
ステラ…。ステラ…。






「どうしたのだ?!ステラ!」





胸が苦しい…。呼んでる…。あれは…。





エメラルド…。





「ステラ。」





紫の瞳が重なって見えた。





バタバタ!
「「陛下!得体のしれない不届き者が侵入したようで…。」」






「陛下…。私を…。それはたぶん…。」





無言でステラを抱き抱えて城の大門に降り立つ。





大門前では戦闘になっていたのか一人立っている者がいた。





「我が城と知っての狼藉か?」





「…。」
フードを深く被る怪しげな者が剣を抜こうとする。





「陛下…。それは私の迎えです…。ご無礼をお許しください。」






ツァイトは剣の柄を見た。





「ソナタは…。まさか…。いや、言わずにおこう。」






ステラを手渡した。






「この薬を無くなるまで飲ませよ。こちらは毒が入っている…。間違えるな。それと動かすな、まだ毒が抜けておらん、動くな、と言っても動く故に我の戒めで拘束している。そろそろ魔法が解ける。よいな?毒が抜けるまで動くな、これを残らず飲ませよ。」






長々とフードの男に念を押した。





ステラとフードの男が去っていく。






「せい…。あれは…。あれは。」






ステラは再び眠りに落ちる。






自分自身の鼓動が大きくなるのを聞きながら…。





見送った紫の瞳…。






「人間…。それは不思議な生き物よ。」
笑う皇帝。





「「陛下?」」





「時の廻り合わせか…。あれは…。」





空を仰ぐ。太陽と星が紫の瞳には見えていた。





「私との出逢いも運命か…。定められしは…。あれは…。」





遠くの空を仰ぐ紫の瞳は未来を見ていた。
聖獣と人は太古に呼んでいた彼を崇めていた。
今では忘れられたが…。





「太陽と星は出会った…。」





面白そうにそう呟き、城へ消えていく。