「……」 もう何も言うまい。 紘哉は羽兎に背中を向けて歩き出した。 「紘哉さーん!」 徐々に離れていく背中に向かって羽兎は呼び掛けた。 しかし彼は、振り向きもせずに手をちょろちょろと振って行ってしまった。 一人取り残された羽兎。 確かに箱は開けようとしたけどさぁ! 冷蔵庫に入ってるからちょっと期待したけどさぁ! いくらなんでもそれはないだろう! 「……ちくしょーっ!!」 羽兎の悲痛の叫びが中庭に響き渡った。