そう言って彼女が取り出したのは小さな宝箱だった。

形と柄ははよくRPGに出てくるようなやつだ。
唯一違うところと言えば、その箱が手のひらサイズといったところだろうか。

「中って何が入ってるの?」

「秘密だ」

紘哉は宝箱をスーツのポケットに入れた。

「少なくとも目の前にあるお菓子を勝手に食べるようなお子ちゃまには教えない」

「酷い!私そんなことしないよ!
なのに箱に鍵までかけちゃってさ」