「で、いつ来るの?」 羽兎はまた本に目を戻した。 しかし、聞きたい気持ちは抑えられない。 「それも知らん」 「紘哉さん……依頼人から何にも聞き出せてないのね」 「勝手に電話切られたから当然だ」 紘哉はあくまでも淡々と返す。 「ふーん……」 そこで二人の会話は途切れた。 東京の郊外にある三雲探偵事務所。 依頼人はほとんど来ない。