「あれ?どうしたの?紘哉さん」 依頼人を接客するためのテーブルで、ミステリー小説を読んでいた閑田羽兎が顔を上げた。 「……依頼だ」 紘哉は顔を上げずに答える。 「依頼?やっぱり浮気調査かな……」 「知るか」 今の紘哉の気分は最悪だった。 羽兎も察したのだろう。 それ以上深く聞くことはしなかった。