単なる偶然でできた傷。 あり得ない可能性ではない。 紘哉は淡々と続ける。 「焼却炉に毛布類が燃やしてあったところを見ると、犯行に使われたことは明白でしょう」 「まあね。関係無かったら放置してるハズだもん」 「そして、出してあった布団はカモフラージュです」 「ふむふむ」 羽兎は腕を組ながら頷く。 そして推理を続けるように促した。 しかし、紘哉は口をへの字に曲げたまま何も言わない。 「どうしたの?紘哉さん。黙っちゃって?」