「で、用件は何ですか?用がないんでしたら切りますよ」 と、言いつつも既に紘哉は受話器から耳を離していた。 「ちょ、ちょっと待ってください!!」 慌てた様子で電話の向こうの女性が叫ぶ。 紘哉は嫌々ながらまた受話器を耳に付けた。 「で、なんの用ですか?」 「依頼ですよ。い・ら・い!」 一々この女はっ――! 紘哉は電話を切りたい気持ちを一心に押し込んでいた。