広い部屋の中に、スミレが一人座っている。
背筋の通った、凛とした後姿。
長い髪は優雅に結い上げられ、うなじから肩へつながるなだらかな稜線を一際美しく引き立てている。
今まで一度も日の光を浴びたことがないかのように白く美しいデコルテ、上品で柔らかな膨らみがその下に続き、陶器のように滑らかな両手が揃えて膝の上に置かれていた。
その両手から下に向けて広がっているのは、何層にも重ねられた純白のオーガンジー。
眩いばかりの輝きを放ちながら、床に届いてもなお広がり、スミレは白い大輪の花の中心にいるように見える。
部屋のドアが静かに開いた。
スミレには、それが誰なのか見る前から分かっていた。
「・・・榊」
スミレが振り向く。
在りし日の母によく似た、どこか憂いを含んだ笑顔だった。



