惠一が、静かに雪音を抱き寄せる。 広い、広い世界の中で。 70億人の中から手繰り寄せた、たった一人の人を。 70億人の中から自分を選んでくれた、たった一人の人を。 決して離さないように、決して縛らないように。 優しく強く、抱き寄せた。 そうしながら惠一は、深い深いため息をついた。 誰かが言っていた、 本当に幸せなとき、人の口から出るのは 喜びの叫びではなく、ため息なのだと。