短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~


「あぁ。といっても、インフラが全く整備されていない場所だからね、何が起きても不思議じゃないけど。そんな中で、彼女はよくやってるよ。彼女はね、人の心をつかむ天才なんだ。彼女が笑顔でいるだけで、子供たちが自分から寄ってくる。まぁ、言葉の方はさっぱりだけど」

「所長、それ誉めてるんですか、けなしてるんですか?フフ」
雪音の笑顔からは、やりがいのある仕事に対する充足感が伝わってくる。

「なんでもいいけど、防犯対策だけはしっかりやれよ」

「なお、お前も一緒にやらないか?」
和也が身を乗り出した。

「・・・俺に子供の相手ができると思うのか?」
能面のように無表情の惠一。
この能面が子供と無邪気に戯れる様子など、どうしても想像できない。

「・・・だな、すまん」