短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~


東城和也。

12歳のときに両親を事故で失った和也は、惠一と雪音が育った施設で一時期暮らしていたことがあり、同学年だった惠一と同じ部屋だった。

仲が良かった、とは言えない。
背格好も学力も拮抗していた二人は何かにつけて対抗したものだったが、今の二人には決定的な違いがあった。

和也が微笑む。
日焼けした頬に笑窪が現れ、見る人を惹きつけて止まない人懐こい笑顔になった。

惠一が月なら、和也は太陽。
愛されて育った者にしか身に着けられない、明るさと自信が和也にはみなぎっていた。

和也は嬉しそうに、惠一の肩をつかんで言った。

「元気そうだな、『ドウゾウ』!」