短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~



「なんや、これはドッキリか?どこかに隠しカメラ仕込んどるんか?」

私は醤油挿しの中をのぞきこんだ。続いて、壁にかかっていたひょっとこのお面を裏返してみる。
動揺を隠してボケ続ける私。
二人は、笑わなかった。

「・・・祥子さん、ごめんなさい。私、お腹に赤ちゃんがいるんです」

「俺たち、結婚しようと思うちょる。すまん」

「なんで私に謝っとんの?湿気た顔二つも揃えて。冷めたお好み焼きみたいやな」

二人は、黙っていた。