短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~


私は、平常心を装い喋り続けた。
不安を煽るわずかな兆候を、見て見ぬ振りをして。

居心地が悪そうに何度も座りなおす聡介。
その隣で、さっきから喋らない恵美。
一瞬、合わせた視線をまた伏せる、二人。

「なあ、祥子」