短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~


いつになく真剣な面持ちの上田に、恵一はようやく逃げるのを止めた。
上田が「真面目」と言った言葉の意味を諮るように、恵一はじっと上田を見る。
上田もまた、視線をそらさずに恵一の無言の問いに答えた。


「・・・上田」
しばしの沈黙の後、恵一が口を開いた。

「お前も雪音も、何かするのに俺の許可はいらない。ただし一つだけ、言っておくことがある」

恵一は強い意志を込めて上田を見据えた。

「俺に妹はいない。俺と彼女は、」