雪音はあまり興味無さそうに、周りの芝をむしっては風に飛ばし、を繰り返している。
自分で聞いておいて、この態度はなんだ。
それに、風下にいる恵一のズボンに、飛ばした芝の一部が降りかかっているのにも気づいていないようだ。
それでも、根掘り葉掘り追及されないこの感じが、かえって心地よくて。
恵一は何も言わずに、ついた芝をその都度取る、を繰り返した。
「掃き掃除の他は、何をしてるんだ」
「子供たちの世話とかかな。あっ、ちょっと聞いてよ!こないだね…」
雪音が、瞳をキラキラと輝かせた。
こういう時の雪音の「ちょっと」は、ちょっとじゃ済まない。
恵一は苦笑して、目を閉じた。



