「もう、気持ちは固まった?」


懐かしいシンフォニーの流れるフレンチレストランの個室。


彼はあたしの手をギュッと握りながら、自信に満ちた表情で言った。



「・・・ええ」



静かにそう返事をして、うなづいたあたしに全てを悟ったのか

彼は安心したように笑顔を見せた。



「ありがとう。じゃあ、挙式は前に言ってたホテルでかまわない?」


「そうね」


「新居も早めに決めような」



嬉しそうに声を弾ませる彼の言葉が

なんだか他人事のように思えた。