「先に部屋で待っていて」


仕事中のネオが、カクテルと一緒に私の前に差し出す鍵。


誰にも気付かれないようにそれをギュッと握りしめて

私は今日もまた、ネオの部屋へと向かっていた。



いつしか慣れてしまった、バーからネオの部屋への道のり。



誰かに見られてはいないかと内心ハラハラしながら

だからといって、この足を止められるわけじゃない。


ネオのそばにいたいという思いは、止められやしなかった。




――ネオが仕事を終えて帰ってくるのは、いつも真夜中だった。