「教えてよ。」


教えてあげたいけど、朝っぱらから話せる内容じゃないのよ!!しかもこんな満員電車で高校生に。


「無理。」


一応目をあわせながらポツリと呟くと、航大から深~い溜め息が溢れた。

そして切なげなその表情になんだか胸がチクリとする。なんて言うか……仔犬を捨てるみたいな…。


ふいに何か言おうと航大の唇が動くが、それと同時に駅に着き扉が開いた。


「じゃね!勉強頑張りなさいよ!」


いつもならすぐにホームを後にするが、なぜだか今日は電車が動くまでずっと航大を見つめた。