誰かを愛したりなんかしなければ、傷つくことも泣くこともないんだし。

我ながら卑屈だなぁとは思うけど、ついつい恋愛に対して防御の構えをとってしまう。






「風子っ!!」



名前を呼ばれ振り向けば、学生服に身を包んだ少年が走ってきていた。


真田 航大(サナダコウダイ)
羨ましい18歳だ。




「おはよう、航大。」


「おはよ。途中まで一緒に行こうぜっ!」



ニカッと笑うと真っ白な歯が顔をだし、短い髪とあわさってなんだか幼さが増す。

一人っ子の私にとって、近所に住む航大は弟も同然だ。

母親同士が友人ってこともあって、よくオムツをかえたりしたもんだ。