「もういいよ。
はぁ、馬鹿相手にしないで仕事しよっと。」
「って風子どこ行くんだよ?」
部署から出て行く私に慌ててついてこようとする風間。
「…なんでついてくんの?」
「いや…色気ないこと気にして屋上で泣くんじゃないかって………」
「馬鹿っ!!
子供じゃないんだからね。
資料室に行くだけよ。」
そう言ってヒラヒラと手をふり部署を後にした。
「風間さん、風子さん怒らせちゃったんですか?」
風子の背中をぼんやり見送っていた風間に後輩数人が話しかけにくる。
「え?あぁ。
色気ない!ってのはあいつに禁句だな。」
「いつも一緒にいる茜さんはお色気たっぷりですからね。」
一人が腕を組みながらウンウン頷けば
「でも俺は風子さん派だな。」
「あぁ!俺も。
背ちっちゃくて目クリクリで、フワフワの長い髪!
可愛くて仕方ないですよね!」
「茜と風子は対照的だからな。」
風間が笑いながら答える。
すると一人が身を乗りだし小声で
「俺この前風子さんがカーディガン脱いだとこ見たんすけど………
胸でかかったんですよね!」
「「「まじでー!?」」」
盛り上がる後輩を横目に「こいつら学生みたいだなぁ」と風間は思いつつ、頭の中には笑った風子の顔と豊満な胸がよぎっていた。
もちろん当の本人は知る由もない。
