「遅い!
走ってきなさい、走って。」
無茶なことを言ってくる彩子は無視して、茜と2人席につけば
「日替りランチで良かった?
もう注文しちゃったんだけどね。」
と愛らしく笑う心咲。
「あんたらはやけに早くから休憩はいってんのね。」
茜が手鏡を鞄から取りだし、髪を整えながら言う。
するとグイッと顔を近づけながらニッと笑う彩子。
短い髪からはフワッと甘い香りがした。
「実は室長が急用で出かけてんの。」
「急用?」
私が急用というところを不思議そうに問えば、彩子は待ってましたと言わんばかりに満足気な顔をする。
「ふふぅ、聞きたい?」
こんなこと聞かれて聞きたくないやつなんていない。
