風子仕様の恋模様。


お見合いパーティー

行くことになったなんて母の耳に入ったら、そりゃもう浮き足立つに違いない。

いや、下手したら
「ママもこっそり見に行こうかしら。」
なんて言い出すんじゃ…


そんなことを考えていると自然と歩みが止まっていた。



「風ちゃん、そこ邪魔。」


ハッと我にかえり慌てて道をあける。どうやら部署の入口を占領していたようだ。


「ごめっ!ってなんだ風間かぁ。」


「なんだってなんだ?!

えぇ?おぃっ!!」


そう言うと私の頬を両方から引っ張るこの男は、同期の風間 英佑【カザマエイスケ】29歳!

ちなみにこいつも独身。


「ちょっ!まじでやめて!
化粧が落ちるから!!」


必死に風間の手から逃れて顔を両手でガードする。


「ったく、んな厚化粧する暇あったら仕事しろ。」


「なっ?!してるわよ、馬鹿!」


「茜も風も化粧は一生懸命なのにな。」


ニカニカしながらそう言う風間の背後に、ただならぬ気配を放っている存在に気づき私は一歩下がった。