「お嬢様。お熱を測りましょうか?」 カイトに任された由姫華の様子をメイドは窺っていた。 先ほどから顔をあげず、垂れ下がった黒い髪はいつもの艶がない。 沙良にメイドが言葉を重ねようとすると、由姫華が反応した。 「………んで」 「え?」 ポツッと握りしめられた手のひらの上に滴が一滴落ちた。 「なんでなのカイト………約束、してくれたのに」 嗚咽を漏らす由姫華にメイドは困惑の色を浮かべた。 何か気のきいたことを言おうとしたがいい言葉が思いつかない。