そのまま暫らく2人で泣いていた。



『――あのさ』

 直樹さんが口を開いた。

『お前達、1つの布団の中で密着してて危ない関係に見えるんだけど』

 1つの布団……
 密着して……
 添い寝……
 危ない関係……

「いやいや!!」

 俺は慌てて起き上がった。

『あ――別にそのままでも良かったんだぞ?』

「何言ってるんですか!!」

 俺は懸命に首を振った。

 って言うか直樹さん、何でそんなににやにやしてるの。

 その時、服の裾を引っ張られた。

「ん?」

『椿ぃ……んん……』

 慎、寝呆けてやがる。
 ってか寝てたのかよ。

『ほら、誘われてるぞ』

 ちーがーうーっ!!

『…………んにゃん』

 慎は目を瞑ったまま何かを呟いている。

 んにゃんって何だよ、んにゃんって。

「馬鹿、起きろ」

『…………』

 起きない。

「起ーきーろっ!」

 俺は慎の体を叩いた。

『…………』

 起きない。


 俺は慎の脇腹をくすぐった。

『ひゃあっ!!!』

 よし、起きた。