「敦、特選おめでとう」





えっ…、なんで





「ヤスから聞いたぞ」





涙が零れ落ちる。逢いたかった人が今、俺に笑いかける





「ぷっ、何だよその顔は。なんか言うことはないのかよ」





変わらない、変わっちゃいない。今もそこにある温もり





俺は駆け出して、抱きしめる





「あ、敦!?」





今、爽の顔は真っ赤になっていると思う。俺は、爽の顔が見えないほど強く抱きしめていた。いや、確かめていたのかもしれない





「爽、馬鹿だよ…。みんなに心配かけて…」





涙を堪えながら、言葉を吐き出す





「でもな…、信じてた。きっと帰ってくるって…」





病室には、日村さんや、爽のお兄さんがいた気がしたけど、そんなのは、眼中にはない





「俺………、爽がいなくなったら……!!」