「爽、見て。綺麗でしょ?」





今だ眠ったままの爽に話し掛けてみるも、規則正しい呼吸音しか返っては来なかった





「爽が眠ってから、3年目の春がやってくるよ…。みんな変わってて、びっくりするかも」





返事が返ってこないのは承知の上のこと。それでも、話し掛けようとみんなで決めた





「聞いて爽。あたしね、康弘に結婚しないか?って言われたんだ。驚きでしょ?あたしだってびっくりしたんだよ!」





花瓶に今朝買ってきた"チューリップ"を差しながら話す





「最初は、嘘だと思ったんだよ。いつもの冗談程度にしか受け止めてなかったんだけど、本気だったみたいで…。なんかおかしいね。最初はあたしなんか見てなくて、爽が好きだったのに…」





それは、高校時代
あたしたちが最も輝いていた時




あたしたちはいつも一緒で馬鹿やって、笑ってて…





康弘はずっと爽が好きなのは知っていた。付き合いが長いからなのか、見ていれば分かる





康弘が爽に好きだと伝えた時、本当に心が痛かった





でも、好きな人が幸せになれるのならと、爽の背中を押そうとした