「まずは、勇気を持つんだよ。勇気で一歩踏み出すんだ」





健太君はキョトンとしているようだった





−ゆうき?−





「そう、今健太君が必要なのは"事故を乗り越える勇気"さ。自分を責めたり、悔やんだりした気持ちは分かるよ。だけど、それじゃあ前には進めない」





進むためには−





「悔やんだりしないで、爽を信じて。爽は絶対に戻って来ると信じて」





健太君はいつの間にか泣いていた





「そして、自分の出来ることから始めるんだ」





健太君は「それは何?」と言っているかのように、俺を見つめていた。俺は無言の問いに答えるように、健太君の頭を撫でる





「健太君はまず、自分のケガを直さなきゃね」





健太君は俺にしがみつき、俺の胸に顔をうずめながら泣いた





俺は震える小さな体を、優しく抱きしめた