「俺はこの前、働いていた写真館に辞表をだした」




「はっ?」
「えっ…」




2人とも驚いた顔をしている。無理もない




「はっ、てめぇ何やってんだ…」




スコーンッ




康弘が俺の胸倉を再び掴もうとした時、新聞紙で頭を叩かれた




「円香…」




日村さんの手には新聞紙がぐちゃぐちゃに握られていた




「佐伯、黙って聞くんだよ」




その語尾が強まっていたことから、日村さんの怒りみたいなものを感じた




康弘も感じたのか、静かになった




そして俺は再び口を開く




「だけど、受け取っては貰えなかった。代わりに、コンクールの参加を薦められたんだ」




ポケットの中から、ボロボロになったコンクールの用紙がでてきた