「今の話、ほんとかよ?」




康弘の顔が強張る。日村さんも俺の返事を待っているようだ




笑って、冗談だよって言えたらいいのにな…




俺は何も言えずに、ただ視線を落とした。これだけで分かるだろうと言うかのように




「おい、ふざけんなよ!!俺たち決めただろう?もう、悔やまないって。お前が諦めたのは、爽のせいなら…」




俺は康弘の腕を掴んだ。康弘は驚いた顔をしているのだと思う




「違うんだよ…」




しーんとなった病室には、俺の声だけが響いた




康弘に掴まれていた胸倉は、日村さんによって解放されていた




「何が違うの?」




日村さんが俺に問い掛ける。日村さんはあの一件依頼、強くなったみたいだ




2人には隠し事は通用しない。絶対知られてしまうのだ




俺は短く息を吐き、2人に視線を合わせた




「これから俺が言うことを、怒んないで聞いてほしいってことは無理だろうから…。せめて、最後まで口を挟まないで聞いてほしい」




2人はコクンと首を縦に振った