「へぁ?」
辺りを見渡すとここが病室だということが分かった
「俺、夢か…」
傍らで眠る爽は、何の変化もない
「爽…」
しばらくぎゅっ、と手を握りしめて静かに離す
「爽、今な夢に爽が出て来たんだ。夢は何か?って…。そういや、爽の夢は保育士だったね。爽なら、保育士にだって何だってなれるよ」
何も語らない爽に優しく語りかける
「俺、夢でカメラマンになるって言ったけど、正直もう無理かなって…」
急に目頭が熱くなり、強く拳を握った
「爽が背中を押してくれたこと、凄く嬉しかった。でも、もう俺はレンズを覗けないから…」
−ガラッ−
急に勢いよく、病室のドアが開き、康弘と日村さんが神妙な顔をしていた
「おはよ…、今日は遅かったね」
俺は聞かれたかも知れないと思いつつ、あえて笑顔を見せた
「っ…」
小さな舌打ちが聞こえたと同時に、俺の胸倉は康弘に掴まれていた

