「あの、すみませんが…。この方のお知り合いでしょうか?」
爽を救急車に運び込む時に女性から声を掛けられた
俺は金澤に行けとアイコンタクトをして、離れた
「爽は俺の妹です」
それを聞いた女性は涙をボロボロ流し、感謝の言葉を口にしていた
「先に運ばれたのはあたしの息子なんです。爽さんは息子をかばうように事故にあったと聞きました。息子よりも爽さんのほうが重症なのに、救急車まで譲ってくれて…。泣いている息子に対して、励ましてくれてたんですよ。頑張れ、頑張れって…。本当に何と言っていいのか…。息子を救ってくれて、本当にありがとうございます」
女性は何度となく頭を下げていた
爽、お前って奴は…
「顔を上げて下さい。お母さんは息子さんの傍に行ってやって下さい。こういう時って、本当に心細いんですよ…さぁ」
涙を拭い、最後に深々と頭を下げて女性は立ち去った
爽、お前は凄い奴だよ…
救急車に乗り込むと爽がうっすらと目を開けた

