こんな日に出動か…
いや、こんな日だからこそ事故が起きるのだ
「負傷者の状態は?」
助手席に座る同僚の金澤に尋ねる
「2人。1人は6歳未満の少年。もう1人は高校生くらいの女性。女性が重症だそうだ…」
救急隊の仕事をやっていると、たくさんの傷付いた人と関わる
「高校生くらいって、そういや、柊んとこの妹ぐらいじゃねぇか?」
「そうだな…」
現場に向かう途中、こんな話をしていた
「ほら、見えたぞ。迅速に行くぞ!!」
俺たちは人だかりを掻き分けながら、現場へと向かう
負傷者の少年のほうは先に運ばれたらしい
「すいません、これは一刻を争うので…」
やっと見えた重症の女性
俺は声を失った
だって、そこに血だらけで倒れていたのは
「爽…、爽!!」
紛れも無い、変わり果てた妹の姿だった

