「そうだ。僕、お母さんとはぐれちゃって…」
健太の目には涙があった
「そんなにメソメソ泣くなよ。おとこだろ?」
「むっ、泣いてないっ…ひっく。泣いてないもん」
完璧泣いている
「お母さん見つかるまで、お姉ちゃんと一緒にいようか。お姉ちゃん、あっちに友達待たせてるから一緒に…」
「待って!!」
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健太が突然大きな声を出した
「待って、今お母さんの声が…。ほら、また聞こえたよ」
健太がはしゃいでいる。けれど、あたしには風の音しか聞こえない
「お母さん、僕はここだよ!!」
健太が声がするという方向に足を進める
雪がさっきよりも増して降ってきた
「健太!!」
「お母さん!!」
あたしにはやっぱり健太のお母さんの声は聞こえない。ただ、聞こえるのは車が走る音だけ
何故か嫌な予感がする

