「あっ…、マフラーが…」




円香の手元からピンクのマフラーが風に飛ばされてしまった




あのマフラーは円香の1番のお気に入りのやつだった




「ちょっと待ってろ!!今、取って来てやっから」




「ちょっと爽!!いいよ…、ほら雪も酷くなってきたから!!」




円香の言う通り、雪が酷くなり、視界が悪くなっていた




「大丈夫だ!!すぐ戻る」




円香の言葉を聞かずに、マフラーを取りに行った




だってマフラーはすぐそこの路地にある木に引っ掛かっていたから




あたしは自分で言うのも何だけど、目がめちゃめちゃ良いのだ




でも早く取らなければ、今にも風に運ばされそうだ




霞む視界の中、マフラー目指し一直線に進んだ




走っている途中、寒さや眠さと戦っていた




早く家に帰って、布団に入って…あ、そうだ。兄ちゃんに謝んなきゃな…




それと、敦に電話しなきゃな…。電話するって約束したもんな




そんなことを考えているうちに路地に来ていた