「何?ここを辞めるだと?」




「はい…」




ここは名の知れた写真館




入社して半年、ここを辞めることを決意した




「何?お前、写真が嫌いになったのか?




「いえ、そうではなくて、ただ…」




「ただ、何だよ?」




「レンズを覗いた世界を見るのが苦しいというか…」




俺は写真館の社長に辞表を提出した




経った半年であったが、大変お世話になった。本当はもっと働きたかったけど…、俺はカメラ越しに映る「爽のいない世界」を撮るのが、苦しくなっていた




「すいません」




多分、今の俺の顔はひどいだろう




爽が見たら笑うだろうか、怒るだろうか…




ただ、頭を下げて社長の言葉を待った