「ふふ、何?」
「い、いや……」
気づかれていたのか、と少し焦った。
再び料理を始めた彼女を見て、俺はふと思った。
これってチャンスなのではないか、と。
「……ねぇ。ちょっとだけ、出掛ける」
「えっ?……うん、いってらっしゃい」
「……い、いってくる」
まるで一緒に住んでいるようなやり取りだ。
彼女が少し寂しそうな顔をした気がしたが、都合良く感じただけかと彼女の家を出る。
まずは、準備が必要だ。
「あっ、お帰り!」
「……ただいま」
あの子の家に戻ると、真っ先に俺の下に駆け寄ってきた。
限りなく可愛い、本当。
「ご飯出来たから、食べよっ?」
「あぁ、うん」
彼女と向かい合うようにして座り、テーブルの上を改めて見てみた。
……すげぇ。
まずそう思った。
彼女を見れば『食べて食べて』と言わんばかりの笑顔で、俺は「いただきます…」と手を付ける。


